True Crime: New York City

タイトル

True Crime: New York City

メーカー(公式サイト)

Activision / Luxoflux Corp.

ジャンル

アクション

発売日

2005/11/16

フォーマット

PlayStation 2 (NTSC-U/C)




2001年秋に登場した『GTAIII』は世界中で大ヒットを飛ばし、
多くのユーザーを虜にすると共に、RockstarGamesを一躍人気メーカーに押し上げた。
それに伴って当然の如く様々な追従作品が生み出された。
その中のひとつが『TRUE CRIME: STREETS OF LA(以下、TC:SoLA)』である。
TC:SoLAはその名の通り、ロサンゼルスの街を舞台にしたクライムアクション。
GTAと決定的に違うのは、GTAの主人公が
「警察に追われる側」の人間(有り体にいえば悪人)だったのに対し、
TC:SoLAの主人公は逆に悪人を追う側、つまり警察官(刑事)であるという事。
それによってGTAとは一風変わったプレイスタイルが楽しめ、
TC:SoLAはゲームとしては大雑把な作りながらもなかなか良く出来たゲームとして評価された。

そしてTC:SoLAの続編が『True Crime: New York City(以下、本作)』である。

いきなり結論から書くと、本作は非常に面白いゲームである。
が。
それと同時に非常に"惜しい"。
以下、本作の「良い点」「悪い点」をそれぞれ列挙すると同時に"惜しい"理由についても説明していく。

まずは良い点。
第一に、本作の舞台はタイトルの通り大都会・ニューヨークなのだが、
とにかくその舞台となったニューヨークの街並みが
「建物まで忠実に再現した」と謳っているだけの事はあり、リアル。すっげーリアル((C)勝俣)
更にエリア自体がとても広く、その広さはGTA:SAにも匹敵するレベル。(GTA:SAを6x6とするなら本作は5x5位)
しかも「ひとつの州」が舞台だったGTA:SAに対し、
本作の舞台はあくまでもニューヨークという「一都市」なので、
同じぐらいの広さと云えども「密度」は全然違う。
どういうことかというと、GTAを含め今までの箱庭作品の殆どは
街並がゲーム的にデフォルメ(縮小)されているので現実と照らし合わせるとかなり狭い。
その点本作は実際のGPSデータを元に作成したらしく、全てが実測サイズ。
これにより街のリアリティが格段に増し、「今○○にいるんだ」という気持ちが
今までの現実の街を箱庭化した作品以上に強く味わえる。
番地やストリート名も正確に表示されるので、冗談抜きで観光ソフトとしても使える出来。
現実の地図が攻略マップとして使えるのも感情移入度を更に高める。
あまりにリアルすぎて移動するのがすさまじくめんどくさかったり(NYは一方通行が多い…)
似たような風景がどこまでも続くのはゲームとしては良し悪しなのだが、ご愛嬌といったところか。
なお、移動に関しては地下鉄やタクシーも利用できるのでストレスはあまりない。

そして第二に、前作に引き続き主人公が警察官(刑事)である事により行える様々な警官プレイ。
これが楽しい。
「ニューヨーク市警だ!動くな!」ってな感じで街中で起こる事件を解決したり
職務質問で相手の懐に違法なブツを埋め込んで冤罪で逮捕したりと遊び方は多種多様。
犯人を捕らえる時、まずはバッジを掲げ投降を呼びかけ、大人しくならなければ威嚇射撃、
それでもダメなら関節を狙って銃弾を撃ち込み相手を無力化、
しかるのち逮捕、という平和的な方法が取れるのは
「とりあえず全員殺しちゃえばおk」のGTAとは違った面白さがある。
精密射撃時スローモーションになるのはGTAにも取り入れて欲しい画期的な機能だ。
(アナログスティックは微妙な操作がしにくいので)
あとは警察バッジを掲げる事により合法的(?)に車を奪えるのも主人公が警察官ならでは。
街で大暴れして悪行ポイントを溜めすぎると上司に呼ばれて
強制的に「おまわりさん」をやらされるのも主人公が警察官ならでは。

第三に、操作が本家GTAシリーズと似通っている為とっつきやすいのも嬉しいところ。
チュートリアルも存在するので同系統のゲームをやった事があれば操作に関して戸惑う事はあまりないだろう。

と、マンセー意見はこのへんにして、お次はこのゲームの悪い点。
第一に、重い。とにかく重い。
オブジェクトが密集するとフレームレートが落ちてかなり辛い。まさにおもつらい。
それに起因してかフリーズも頻発する…らしい(今のところ発生してないので詳細は不明)
この欠陥のせいで海外のゲームポータルサイトのレビューでは
10点満点中4点台という悲しい点数が付けられていた。
地形にハマったりするバグも少なからず存在するようで、そこはかとなく調整不足が感じられる。

第二に、相変わらず前作に引き続いてクルマの挙動がオモチャのようにチャチ。
横っ腹追突された車がクルクル回転して吹っ飛んでいくさまはまるでベイブレードのよう。
更に全面アイスバーンなのかと思うぐらいタイヤがツルツル滑る為にかなり操作し辛く、ストレスが溜まる。
エンジン音やクラッシュした時の衝撃音がショボいのもちょっと…。
GTAレベルを期待するわけではないが、もう少しなんとかして欲しかった。

第三に、「良い所」で操作GTAと似ててとっつきやすいと書いたが、
それでも「全く一緒」ではないので、キーコンフィグが欲しかったのがホンネ。
どうせ色々パクってるんだから変なプライドは捨てていただきたい。


総括すると、素材としては良い物を持ってるのに根本的な部分での粗が目立つ作品。
それだけに惜しいと感じた。
そもそもPS2というハードで出すのが無謀だったのかもしれない。(XBOX版も大差ない模様。GC版は不明)
来年1月に出るPC版ではフレームレート低下やフリーズに関しては解消されるだろうし、
パッチによるバグフィックスも行われると思われるので
環境が許すのであればPC版を待つのが得策か。
不具合が存在する以上、現時点でのコンシューマ版はオススメしにくい。
とはいえ決してつまらなくはないので、箱庭ゲーが好きなら買っても恐らく損はしない。
警察フェチ及びニューヨーカーに憧れる御仁でも楽しめると思われる。
ただし、ゲーム的にGTA程の破天荒さはなく、
街のつくりも含めてリアル寄り(悪く云えば地味)な内容なので
GTAでハチャメチャやるのが好きな人には物足りないかも知れない。
逆に、追跡中の犯人が「本気で逃げる」&「本気で殺そうとしてくる」ので、
「GTAのNPCは手を抜きすぎ」なんて思ってる人にはオススメ…かも。
犯人が立て篭もっている建物に踏み込んだ瞬間一斉射撃で蜂の巣にされた時は現実の非情さを痛感した。

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